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The boy who dreams

夢見る少年


第四夜の「駄菓子屋」を書いた時、

風邪で高熱を出していた中で書いてUPしたんで、

内容の方の記憶が全くありませんでした。

また、あおとの日になったので、今日(13)漸く見ました。


少年達の世界はちょっとダークに仕上げています。

本当の小学校四年生ぐらいはまだ擦れてないかなあ。

一般に中二病って言いますが、小五病って言うのもありそうです。

まあ、ちょっと異性に興味が湧くって言う感じです。


今夜は異性に目覚めるような風味にしたいと思います。


少年達のオレンジ色の午後


五夜                


噴水を見ながら


                                     peko


あおと達は公園でサッカーをしていたが、

遊び疲れたので駅前の噴水前広場に移動していた。

あおととゆうたはプランター前のベンチに腰掛けたが、

そらねだけが一人で噴水の前でリフティングをしていた。

晩い午後。冬の空は清く澄んでいて怖いほどだった。


あおとが急にゆうたにこんな事を言った。


「ゆうた。そねらを見てるときゅんとしないかい」


ゆうたが困った顔をして応えた。


「そんなのする訳ないぢゃあないか」


あおとが溜息混じりにゆうたに言った。


「だってさー。そらねはつきはと顔が同じなんだぜ。」


ゆうたが笑ってあおとに言った。


「それは、二卵性双生児だから似てるよ。

あれ、もしかしてあおとはつきはが好きなの」


あおとは素直に応えた。


「何かなあ。つきはが気になるんだよ」


ゆうたは、抜けるような青い空を一度見上げてからこう言った。


「あおと。僕等はまだ子供だ。世界を決めるには早すぎる」


あおとがすかさずゆうたに尋ねた。


「ゆうた、それってどう言う事?」


ゆうたは頬杖を付きながらこう言った。


「子供は選択肢が沢山ある。多分ね。きっと多分ね。

子供の時の恋なんかは蕾のまま消えてしまい思い出すらにならない。

距離が近すぎてドキドキが盛り上がらないんだ」


あおとがゆうたに尋ねた。


「ドキドキ?」


ゆうたが応えた。


「そうさ。恋のドキドキさ。

只ね。あおと、この恋のドキドキの相手も実らないらしい」


あおとは顔を傾げながら、ゆうたに尋ねた。


「ゆうた。ドキドキでは駄目なの?」


ゆうたがあおとに少し笑って言った。


「本当の恋は、普通になれる事なんだってさ」


あおとが怪訝そうにゆうたに尋ねた。


「普通?」


ゆうたはまた空を見上げて呟くように言った。


「普通ぐらい手に入らないものはない」


ゆうたがそう言ったあと、

あおとは狐につままれたような気分になったが、

暫くして、ゆうたにこう言った。


「だね」


それから二人は噴水の光でキラキラしているそらねを暫く見た。

こんな時間は多分、普通なんだろうが、

大きくなると、その普通をどっかに忘れてしまうんだろう。


噴水はいつものようにキラキラしていた。

いつものように。いつものように。


end


撮影・iPhone クローム機能 LEDライト++


orange pekoe  (ペコ)

2016.12.22